Humanscaleのデザインスタジオによる、深海の海綿を模したスツール(パート1/3)

サステナブルなデザインに挑むHumanscaleのデザインスタジオ ― 3つの異なるサステナブルなアプローチにより、シンプルなスツールのデザインを再定義: バイオミミクリー(生物模倣性)、サーキュラーエコノミー(循環型経済)、バイオファブリケーション(再生医療技術)。 バイオミミクリーのアプローチを研究して完了させたのは、HumanscaleのデザインスタジオのJacob Turetsky氏(工業デザイナーII)です。 製品を設計する際、Jacob氏は自然界に存在する深海の海綿「カイロウドウケツ」とその問題解決能力から発想を得ました。 Jacob氏にデザイン・プロセスと成果について、詳しく伺いました。
この挑戦で得られた最も大きな成果は何でしたか? 進化というメカニズムは、私たちの設計サイクルや開発サイクルと似ています。 私たちは、これを自然淘汰と呼んでいます。 結果として生まれる「プロダクト」、つまり生命体やシステムがそれを取り巻くエコシステムを傷付けることはほとんどなく、仮にそのようなことがあっても、それは自身を傷付けることになり、次第に自らが後退して消滅してしまいます。 人間が作る製品についても同じ様に考える必要がありますが、そうしなければ私たちも失敗の道をたどることになるでしょう。
最終的な方向性はどのようにして決まりましたか? 「ビーナスの花かご」とも呼ばれる海綿の一種から採取した検体を検査した際、その非常に規則的な構造に驚きました。 そこで、これを抽象化し、CADで単一の反復するセグメントに落とし込むことにしました。 それから、このユニットをつなぎ合わせたり、歪めたり、回転させたり、反転させたりして様々な配列を作り、その中から優秀なものを見つけました。 海中では、非常に均整が取れた構造を持つ原始生物がよく見かけられます。スキューバダイビングで遭遇しそうなものが、結果としてできました。 この挑戦によって、ご自身のデザインの全体的なアプローチが何か変わりましたか? 新しい手段を身に付けました。 自然界から発想を得て実際に役立つソリューションを作るという挑戦を通じて、バイオミミクリーが有効なアプローチであることが分かりました。 積層造形の技術が進歩していなければ、このスツールを実現できなかったでしょう。 3D印刷のおかげで、材料を最小限に抑えた快適かつ軽量なスツールを製作できました。 世界のどこからでもダウンロードできるコードに基づき、必要な材料のみを使って複雑な形状を作成できるという点に注目すれば、現在行われている資源の無駄遣いを一部解決できるかもしれません。
Humanscaleのチームが自然を活用して設計上の課題を解決する方法を習得できたのは、特に、アリゾナ州立大学バイオミミクリー・センターのLindsay James教授のおかげです。 詳細をお求めですか? このサステナビリティの挑戦の一部である、サーキュラーエコノミーとバイオファブリケーションというスツールの他の2つのアプローチをご覧ください。